「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んだ。
本が読めなくなるかどうかより、全身全霊で打ち込むことの是非のほうが心当たりのある話だった。
自分の場合は全身全霊で打ち込んでいた環境から、育児が始まって、そうでない環境に変化した、というのが、ここ数年の出来事。
自分の身の回りのIT業界では、学生時代からコードを書くのが趣味、みたいな人物が仕事を始めて、仕事をしながらも、趣味で、仕事を効率化するプログラムを作ったり、趣味で勉強会に行ったりする、という、仕事が趣味なのか趣味が仕事なのかわからない姿勢の人が多い。
そこからライフステージが変化して、24時間仕事していていいという状況ではなくなり、家事育児の分担をしていくと、仕事に1日8時間しか捻出できない、といった状態になると、以前のほうが熱中できていたな、いまは全力で過ごせてないな、と、調子がおかしくなる。
これをあとで調べよう、と思ったり、あとで本を読もうとKindleで買っても、時間の余裕がないので、以前はできていたことができなくなる。
独身時代は、19時になったら仕事は終わり、ということでビールをあけて、仕事で勉強したいことの勉強を始めて、22時か23時まで読んでいるとか、19時から試したい実装を試す、というのが至福のときだった。趣味でやっていたOSSの開発はだいたいそのような時間で、あるいは、週末にオフィスに来て本を読んだりコードを書いたりということをやっていた。
今は、保育園の送り迎えという時間がぴったり決まった仕事があり、夜の趣味の時間だった時間帯に被ってきていて、そこから夕飯をやったり風呂をやったり、保育園からの宿題もあったりと、いろんなことをちまちまこなさないといけない。
使える時間は有限なのでコンテキストはいくつかあるもので、コンテキスト1つのまま過ごせる日はもう失われた、ということに、気持ちの切り替えが、まだ付いていない、ということだと思う。
コンテキストを1つに戻したい、ということではなくて、家族に家事育児を押し付けて自分だけ全身全霊に戻る、というバランスはありえないので、コンテキストが複数であることを受け入れて、自然と乗りこなせるようになりたい。