古いレンズを買った。1950年から60年代に作られていたもの。
ちょうど紅葉の季節なので撮ってみると、めちゃくちゃファンシー。個人的に、レンズを探すときの価値観が、ファンシーかどうか、という一点に集中している。ピントの合ってない部分がぐるぐるしているところにファンシーさがある。逆に、ピントの合っている箇所はスマホのカメラでも撮れるので、関心がない。


ただし近くのものにはピントが合わず、食卓の写真を撮ると、死後、草葉の陰から見守るときの距離感くらいに離れないとうまくいかない。高級なアダプタを買うとアダプタ自体が可動になっていてもっと寄れるらしい。

古いレンズを使うことは人類の叡智に触れるということで、現代まで残っている、よくできたものに自分で触れて見られるというのがおもしろい。ピラミッドは1個しかないけどレンズはたくさん製造されているので使ってみることができる。
70年前に製造されたものを現代の電化製品とくっつけて使えるのも変な話で、インターフェイスの大事さ、ということだと思う。カメラとレンズが直接依存するのではなくて、マウントの型はどれになっていますか?というやりとりで完結するので、このレンズのマウントからEマウントに変換するアダプタを買ってくることで、くっつけて使うことができる。
Mマウント(パソコンが買えるくらいの価格)じゃなくてL39マウントというさらに古いもの(iPadが買えるくらいの価格)で、それで古さゆえにレンズも価格が低いということになっている。
インターフェイスを定めるとインターフェイス自体が古びていく、ということでもある。家に転がっているフロッピーディスクをバザーに出しても買う人はいないけど、DVD-Rなら買う人がいるかもしれない。
