物へのこだわり、メディアとの関わりなど、1968年に記されたとは思えない。
食べ物の世界とかはあまり発展がないので、サラダの作り方とかパスタの茹で方とかは、いま読んでも、ふうん、となって参考になると思う。
自由なことを書ける時代だったのかなと思って、テレビだけ見て一日暮らすのは狂人か痴呆、という章で、そこまではテレビを見まくっている読者への批判なのでギリギリよいとして、突然、高校球児たちへの罵倒が始まるのがひどすぎる。
私は高校野球というのが実に吐き気が出るほど嫌いですが、それは高校の野球選手たちの顔つきがあまりに愚かしいためで、(中略)、こんなのが高校3年生というのはむしろ神秘といっていいわけなのですが、こういう連中が大体運動部員なんだな。
いまこんなに嫌いなものについて書く人はあまり見ない。嫌いなものがあったら、その逆に好きなものについて書くのをよく見ると思う。ただこの人の人間性とかはわかってないので、時代は関係なくて、ただ胆力のある人なのかもしれない。
- 作者:十三, 伊丹
- 発売日: 2005/03/02
- メディア: 文庫