hitode909の日記

以前はプログラミング日記でしたが、今は子育て日記です

マツダ関連の本

マツダユーザーとしては造り手のことを知っておこうとちょっと本を読んだ。

マツダ 心を燃やす逆転の経営

現代のマツダ車はどれも同じに見える。それがどう実現されているかというと、全車種をまとめて設計、企画しているためで、ペダルを自然な位置に置くためにタイヤの位置を変えたいとか、あとからは決断できないようなアーキテクチャに関わる部分もあるので、最初の時点で各所にアイデアを出してもらって盛り込んでいる。
ソフトウェアを作っていても、最初の段階でこれをやっておけばよかったけど手が回らず遅かったね、ということの積み重ねが多々あって、アーキテクチャが良ければ長生きできるし、後付けで盛り込むと、やっぱりこれは無理があったね…みたいなことがあったりする。
複数のソフトウェアを作っているときに、それぞれの共通となる部品や指針があまりないと、判断基準が毎度ちがって苦労したり、利用者としても、使い勝手がバラバラで、品質もまちまちで、ブランドとして統一感が出なかったりする。
統一して設計すると、全部が一様に古びてしまうはずで、そのときにどうなるのかは気になる。車の場合は何年かに一度リニューアルする前提なので、数年後を見据えてアップデートしていけるけど、ソフトウェアの場合は定期的な作り直しを想定することは必ずしも想定されていなくて、このサービスが古びてきたので、いちから作り直しましょうっていうとなかなか大変。部分的に作り直すため、小さく切り出しましょう、ということがアーキテクチャとして徹底されてないと、部分的に捨てたり作り直したりするのは難易度が高い。マイクロサービスになっていたとしても、まとめて設計しているのでログイン部分は全サービスで共通化されている、みたいになってれば便利そう。

マツダ 心を燃やす逆転の経営

マツダ 心を燃やす逆転の経営

デザインが日本を変える~日本人の美意識を取り戻す~

こちらはデザインの話。各車が占める役割は全体の車の配置のなかで決められているので、各車のデザイナーはいちから方針を考えて好きなものを作るのではなくて、ポートフォリオの中でその車が期待される役割を果たすようにデザインしていく、という分担。以前は一車ずつ、ユーザーをびっくりさせるために新しいことをしようと考えていたので、統一感のない車のラインナップだったのが、今のように整理されたラインナップになっている、というのがいい話。
経営の本では、理詰めと、熱い情熱、みたいなテンションが楽しめたけど、こっちの本ではデザイン異常話を楽しめる。

部屋には大きなスクリーンが張られ、そこにはチーターが走ったり、カモシカが走ったり、ライオンが走ったりする映像がえんえんと流されている。それを大の大人が熱いまなざしで見つめ、ときには「今の瞬間、いいね!」とか「なるほど、そういうふうになっているのか!」と感嘆の声を上げたりする。

そうして、動物の飛びかかるかっこよさから抽出された「ご神体」という彫刻があって、ワンカップがお供えされたりしている。
ディーラーのおっちゃんは神とは無縁の普通のおっちゃんだったけど、その車の製造過程にご神体が安置されているというのがおもしろい。ビルの建てられる過程をたどると、どこかの工程で地鎮祭がおこなわれていて神主が登場するのと似ていると思う。デザイン、宗教、工業、が融合した領域。