普通、登場人物が逆境に立たされるときは、観客と共感し合えるテーマについて困難に立ち向かうような課題が設定されると思う。愛するファミリーを守るために敵のマフィア組織の者を殺す、とか、野球選手として活躍したいので練習する、とか。
この作品では校長先生が毒入りの水をがんばって飲み干すという謎の課題が設定される。泥水を飲み始めると、我を忘れることになるが、構わず飲ませてほしい、という要望をして、生徒が老人に泥水をどんどん飲ませるという映像を見ることができる。認知症とか、老人虐待とか、そういうワードが目に浮かぶなか、老人が泥水を飲み続ける。
画面として見てみて楽しいものではない風景がクライマックス的な感じで上映されているという構造がおもしろかった。